教育支援活動の効果測定を計画する
自社の戦略的な教育CSRの指針を明示し、経営層・参画する関係者全員に対して目標を共有する事業計画書は、企業の社会的責任において限られた予算で継続的に実施していくために必要不可欠なものです。外部評価により高い評価を長期にわたって受けている企業の事業には、必ず戦略的な事業計画があります。
戦略的教育CSRに必要な効果測定について
教育効果測定と事業効果測定
その事業計画にもとづき、事業を着実に推進・発展させるためには
- 教育そのものの効果を測定する教育効果測定
- 事業の課題抽出・分析・改善を行うための事業効果測定
という2つの視点で教育支援活動の効果測定を計画することが重要です。
児童・生徒に対する教育効果測定(主に授業後アンケート)
ただ単に「楽しい」などの評価項目ではなく、プログラムで設定している知識・理解や意欲・関心、資質・能力における到達度の評価項目設定が必要です。
また長期にわたる活動支援の場合は、意識や行動変容を測定するなど、教育支援活動にふさわしい内容で設定することが大切です。
教員に対する教育効果測定(主に授業後アンケート、ヒアリング)
自社の教育支援活動を客観的に評価できる対象者として教員による評価は必ず評価スキームの中心に組み込みましょう。プログラムのねらいや、資質・能力の観点と同様に、自社の活動目標の到達度を図れる設問項目を設定することをお勧めします。
第三者による教育効果測定(事前事後アンケートや観察調査)
教育支援活動によっては、期間や取組を絞って大学などの教育専門機関に教育効果測定を依頼するケースもあります。この場合は、長期にわたり取り組む姿勢が必要です。
第三者による事業評価(申請書提出による選定)
取り組み始めて、ある程度実績を積んだ段階で、教育支援活動の表彰制度などを利用して第三者評価を受けることも重要です。
社内や社外への認知度をあげるために活用している企業も多く、アワードの受賞をきっかけに、社内役員による活動支援があり、拡大展開できるようになったケースもあります。(例:経済産業省主催 キャリア教育アワードなど)
また、ESG投資が進む中、非財務情報を評価する“社会的インパクト評価”など新たな事業評価の研究が進められています。
社員講師による事業効果測定(研修や授業後のアンケートやヒアリング)
出張授業の場合は、教育支援活動の中核をなす講師による事業効果測定を実施することをお勧めします。また、事業効果測定をすることで、社員に対して事業の価値づけを行う側面もあります。
運用に対する効果測定
事業計画にあわせて、事業運営の課題を抽出し、継続的・安定的・発展的に教育支援活動を実施できるしくみをつくることを意識しましょう。