教育支援活動実施の流れ

出張授業講師が社内リハーサル時に備えておくポイント

子どもたちの心に響く授業を実現するための鍵は、講師の熱意といえます。すぐれた教育コンテンツであっても、準備不足で臨めば、子どもたちにとっての効果的な授業にはならず、学校からの評価を得ることもできません。プログラムのねらいを達成するために、準備は確実に行いましょう。

事前トレーニング、リハ―サルが成功の鍵

事前に備えるべき6つのポイント
  1. 授業の「ねらい」をしっかりおさえる授業はプレゼンテーションではありません。
    プログラムの流れやトークシナリオだけでなく、プログラムを通して伝えたいメッセージは何かを正確に理解することが重要です。授業を終えたとき、子どもたちに学びのメッセージを残せるよう、イメージトレーニングを行いましょう。
  2. 入念にリハーサルをする通常1時限は、小学校は45分、中学校は50分です。決められた授業時間内で効果的な授業をするためには万全の準備が必要です。リハーサルを行う際は、児童・生徒役となるメンバーも用意して、実際の授業で子どもたちとのインタラクティブなやりとりを想定した時間配分を確認しましょう。
  3. シナリオの丸暗記をしてはいけない授業は生き物ですから、丸暗記をしてもその通りにうまく進むとは限りません。また、丸暗記をしてしまうことで、逆に柔軟な対応ができないことにもなりかねません。大切なことは授業の流れを大切に、スライドやワークにそって伝えるべきポイントを自分の言葉で話せるようにトレーニングしましょう。
  4. 当日のリスクに備える当日、何らかの理由で授業の開始時間が遅れたり授業の進行がうまくいかないなど、予定通りの時間配分にならないケースは少なくありません。万一に備えて、時間を短縮してもよいパートや短縮する方法を決めておくなど、5~10分程度の短縮に対応できるよう備えておくとよいでしょう。
  5. 準備物を確認する持参物、事前送付物に漏れがないか、余裕をもって確認しておきましょう。
  6. 当日の移動時間、移動手段、待ち合わせを確認する当日の移動時間、移動手段を確認しておきましょう。また、複数の講師で学校に出向く場合は、余裕のある待ち合わせ時間を設定しましょう。

こんな時はどうする!? 学校でよくある、もしもの時のイメージトレーニング

想定外!授業が10分遅れてスタート
前の授業が体育や音楽など教室移動がある場合、授業開始が遅れることもあります。
だからといって、開始が遅れた時間分、授業終了時間を延長することは原則的にできません。次の授業への子どもたちの集中力をリセットするための休み時間がなくなってしまうからです。
解決案

授業のねらいと全体のねらいを確認して、授業短縮のパターンをあらかじめ考えておく。

解説
このような突発的な事態を想定し、あらかじめ、いくつかのパターンを準備しておけば、冷静に対応することができます。例えば、授業のねらいに必須の内容を30分~35分で構成できるよう、どこを割愛すれば何分短縮できるか、いくつかの案を考えておきます。
逆に、思ったよりも早く授業が進んでしまった場合は、途中の児童の活動の時間を長めにとったり、最後に質疑応答の時間を設けたりすることで、授業全体の時間を調整することができます。

慣れない学校での授業で、突発的に起こった場面に対して瞬時に最適な判断をくだすのは、大変なことです。
事前の準備=リスクヘッジをしっかりと行いましょう。
備えあって憂いなしです。

パソコンがフリーズ!
授業の進行に欠かせないスライド教材が使えない
使用予定のスライド教材が使えないとなると、授業進行に著しい影響を与えてしまいます。
何よりも講師自身が不安になります。
学校の機材を使う場合は、早めに学校に到着し、必ず動作確認を行います。
解決案

事前の動作確認の徹底と代替案の準備をしておく。

解説

  • 学校のパソコンを使用する場合は、事前にデータをお渡しして、先生自身にも動作確認をしておいていただく(バージョンの違いや容量による不具合がないかを確認する)
  • 不安な場合は自身のパソコン持込みが可能か事前に確認し、万が一に備えて持参する。
    その場合はモニターやプロジェクターとの接続確認を行い、スライドの最後まで投影しながら、文字の改行ズレなどがないかを確認する。
  • スライドのデータをUSBやCD-ROMなどで持参する(データの破損など、万一のトラブルに備える。)

事前の打ち合わせの際に、学校でしておいていただく準備や確認は抜け漏れのないよう、念には念を入れて準備しましょう。

子どもたちの集中力が途切れ、話を聞いてくれず、授業が成立しない
最初は緊張して一生懸命講師の話を聞いてくれていた子どもたちが、途中からザワザワしだして、話を聞いてくれない…どうすれば集中してくれるのかわからなくて、大きな声をはりあげてみるもののうまくいかない…。
解決案

遠慮なくより良い授業を作る最強のパートナーである先生に協力をお願いしましょう!

解説
クラスの子どもたちのことは先生が一番良く知っています。そして、もちろん、子どもたちを集中させる「コツ」も!
また、子どもたちの集中が途切れ、意識が散漫になるのは、講師が一方通行で話し続けている場合がほとんどです。
子どもたちに問いかけたり、ペアで話をさせたりするなど、子どもたち自身の活動を取り入れたメリハリのある授業進行を意識しましょう。
子どもに質問をなげかけたが、同じ子どもしか手をあげてくれない
子どもたちがなかなか手をあげてくれなかったり、同じ子どもばかりが手をあげたり…ということはよくあります。普段なら活発な子どもたちも、いつもと違う状況に緊張していたり、間違うと恥ずかしい…という気持ちから、なかなか手をあげられなかったり、その逆で、特定の子どもが張り切りすぎてしまう場合もあります。
解決案

挙手や発言の促しは先生に協力してもらい、授業のリズムを大切に

解説
こういった場合は、遠慮なく先生に挙手の促しや指名をお願いしましょう。先生は子どもたちのことを一番
よく理解している頼もしい協力者です。加えて、講師の質問の内容や、授業の場面によって、だれを指名すると効果的か、より良い授業の流れを作り出すためのノウハウを持ったプロでもあります。授業前の打ち合わせの時などに、子どもたちの様子を確認し、挙手や発言、指名への協力を依頼しておくとよいでしょう。
うっかり授業の中で自社の商品PRをしてしまった
自社ブランドや商品名のPRは、学校教育では基本的に受け入れられません。
社会貢献として教育支援の思いで授業をしているにも関わらず、「結局商品を売りたいからなのか」と誤解を招き、信頼を損なうことになりかねません。
プログラムの題材や事例の中で、商品を教材として扱うことは構いませんが、慎重な配慮が必要です。
解決案

自分で気づいたときは、その場で子どもたちにフォローするようにしましょう。

解説
理解して授業に臨んでいても、つい、うっかり…ということもあります。自分で気づいたときは、その場で子どもたちにフォローするのが一番です。が、授業後に気づいたときや先生に指摘されたときには、状況を説明し、PRの意図ではなかったことを丁寧に伝え、子どもたちへのフォローをお願いしておきましょう。
そのことについての理解と認識をもっていることをはっきり伝えることで、学校との関係を良好に保つことができます。
時間をオーバーしてしまった
通常授業では、小学校は1授業45分、中学、高校は50分です。子どもたちが45分~50分で習得できる情報量は、大人が考えるより少ないものです。また、授業時間をオーバーしてチャイムが鳴ると子どもたちは授業に集中できなくなり、延長して慌ただしく伝えても学習効果は期待できません。
解決案

あらかじめ授業構成のフェーズを区切り、時間配分を意識して進行する。

解説
授業に盛り込む情報量は、できるだけ絞り込むことをお勧めします。伝えたいテーマについて、じっくり考えさせたり、ワークで理解を深めたりする活動の時間を多めに設定し、時間の調整ができるようにしておきます。また、授業構成のフェーズを区切り、時間配分を決めておくことで、フェーズごとに遅れているか早く進めすぎているかをチェックできます。
情報が多すぎると理解が深まらず、印象にすら残らないという結果になる場合もあります。
また、学校によって授業時間が短い場合や、学校行事の関係で短縮授業などの場合もあります。事前に開始時間、終了時間は必ず確認しておきましょう。

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